ITコンサルタントのイメージ

ITコンサルタントとは?

ITコンサルティングは経営観点でソフトウェアからハードウェアまでITに関する課題解決の為に幅広く取り組む事が必要です。

ITコンサルタントに明確な定義はありません。ITとコンサルティングを組み合わせた造語ですが、本ページ内では以下のように定義して解説をします。ITはソフトウェア開発やサービスの利用、サーバやパソコンなどのコンピュータの導入、インターネットの活用で、企業が提供するサービスのコンサルティングは会社の問題や課題を解決する意味を持ちます。従ってITコンサルタントとは企業の経営観点から課題をあぶり出し、ITで解決課題を導き出し業務効率化や業務改善などを提案する職種を意味します。企業によってはITを導入していないアナログな業務を古くから続けていたり、ITをすでに導入している場合でも効率よく利用できているかが疑問点に上がっている企業もあります。そうした会社の業務に関係する課題をITツールの導入による業務効率化で生産性を上げることや、クラウド環境に会社の資産であるデータを移管し運用コスト削減をすることなど、ITコンサルタントに求められる要件は幅広いことが特徴です。また実際にITに関する業務ツールの導入やインフラ環境整備など行ったあとは、コスト削減や生産性の向上の他にも、ITを適切に導入し、お客様が体感できるほどの結果が求められることも必要とされます。このように高い要求に応えることが可能である、IT知識やスキル、他業種の業務内容の把握などがITコンサルタントで求められる能力であるため、エンジニアの技術や知識と営業系の顧客対応、管理系のプロジェクトマネジメントなど多種多様のスキルが必要になる職種です。

コンサルティングの流れ

経営コンサルタントと比較

経営コンサルタントは、経営戦略や事業戦略などの戦略レベルから、業務プロセスの改革やCRM(Customer Relationship Management)の構築などマネジメントレベルまでを主な範囲としています。ITコンサルタントは、経営戦略に基づくIT戦略の立案から、CRMの構築やeビジネスの展開などマネジメントレベル、システムの企画やITインフラの整備など、ITレベルまでを範囲としています。しかし実際には、問題の原因がIT以外の分野とわかっていることも少なくありません。従って必要に応じてマーケティングや人事など他の分野のコンサルタントともコラボレーションして解決に臨む必要があります。

ITコンサルタントの対象範囲

ITコンサルタントになるには?

ITコンサルタントは業界未経験から職務につくことは一般的には不可能であるといえまます。それは、基本的なIT知識、エンジニアのスキル、知識のような基本能力はすでに身についていることが必須条件であるため、ITコンサルタントのなるには、営業部門からのキャリアアップかエンジニア部門からのキャリアチェンジの大きく2通りの種類に分かれることが特徴です。具体的に営業系職種の技術営業とエンジニア系の管理部門であるシステムエンジニアを例に説明します。

未経験の場合は技術営業からのキャリアアップ

営業系では主に技術検証を行い顧客に提案をする技術営業からのキャリアパスがあります。技術営業はエンジニアからのキャリアパスで技術と知識に強みがあるため、ITの応用スキルが活きてきます。幅広いITの知識をもとに適したITサービスを適用し、業務で応用することがITコンサルタントの真髄を見ることができます。またIT業界ではどのようなサービスが新しく生まれているかを常に把握している状態が必要とされ単にITに強いだけでは適用しない場面があります。ソフトウェアとハードウェアの観点、クライアント環境とインフラ環境の観点、プログラミングやOSの知識など幅広く知ることが必要とされ、各分野に詳しいことも必要とされます。しかし、技術営業はエンジニアの技術力が必要なため、未経験の場合はエンジニア業務を行い基礎力を身につけ、エンジニア業務を一通り行えるようになってから、技術営業になれるため、その先のITコンサルタントになるためには長い年月がかかります。

技術営業とは?

技術営業とは、ITインフラ技術のバックグラウンドや専門知識を活かして顧客へ営業活動を行う職業です。営業との違いはエンジニアリングの専門知識や技術を活かすため、エンジニアチームとの連携が専門的な観点で行うため技術検証で、より深い提案が可能である点です。未経験から技術営業になるためにはエンジニアリングの業務を一通り理解し実施できるレベルになることが前提です。従ってエンジニア部門で一定期間、実務を通じて仕事を覚えた後に営業部門で技術営業として配属になる場合が多いです。

経験者の場合はシステムエンジニアからのキャリアチェンジ

一般的なシステムエンジニアは、アプリケーションやソフトウェアの開発系の管理部門に位置する職種です。また、インフラ部門でも業務で利用するためのアプリケーション開発、機能追加などを行いサービス改善に繋がるような業務も行うため、ともにシステム全体の観点で管理する業務という点では似ています。システムエンジニアはプログラマーやインフラエンジニアなどからのキャリアパスの職種です。エンジニア部門を統括している位置にいる人はコミュニケーションスキル、マネジメントスキルが高い人が多いため、顧客との関係管理とプロジェクトマネジメントを両立し、エンジニア部門の知識で専門性の高い提案が行えるなど幅広く活躍できる機会が多いです。

インフラエンジニアとは?

インフラエンジニア(IT infrastructure engineer)とは、企業のITシステムを構築する、ITエンジニアの一種で主にIT基盤(インフラストラクチャ)の構築を担当する職種を示します。ITインフラ(情報システムのインフラ:基盤システム)を設計、開発する際には、サーバーを設置、設定し、OS(オペレーティングシステム)等をインストールし、ストレージ(記憶装置)やネットワークを設定しますが、最近はクラウド上にバーチャルでシステムを構築することも多くなっており、この場合は物理的なハードウェアにまったく触れず、設計、開発を行います。

異業種からのキャリアチェンジ

異業種からのキャリアチェンジが不可能であることが一般的ですが、特別な例としてIT知識がなくとも、特殊な業種からのキャリアチェンジは特に専門的な分野では重宝されます。例えば医療系システムの改善をしたい場合、医療従事者の方たちはどのような業務課題があり、ITをどのように活用すれば改善できるかなど現場を知っているからこそ生まれてくるアイディアなど新しい提案ができる点が強みです。金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを示すFinTech(フィンテック)は、オンラインを利用したユーザの資産を預かるオンラインバンキングや、それと連動したオンライン決済のキャッシュレスサービスなどは情報セキュリティの観点で対策が求められるため、セキュリティコンサルタントとしてITで解決できる提案を行うことも可能となります。

ITコンサルタントの仕事内容と求められるスキル

ITコンサルティングの仕事領域を俯瞰してみると多岐にわたります。インターネットが普及する中でクライアントのIT戦略検討の延長線上には、業界他社や社会をも巻き込んだ新たな事業機会を得る可能性があります。ITコンサルタントは、クライアント社内における単なる業務効率化の視点ではなく、事業機会創出に向けてIT活用のアイディアを出していく必要に迫られます。
そのためには、ITコンサルティングの領域を俯瞰し、ITコンサルタントは活用の重点を見定めていく必要があります。また、立案したIT戦略を実現させるためには、システム構築プロジェクトにも積極的にかかわり、クライアントの戦略が実現するまで見届ける姿勢も重要になります。

ITコンサルティングの領域

ビジネスモデルの変革による経営の付加価値向上

企業がビジネスモデルを変革していくためには、ITの活用が欠かせません。例えばアマゾンは「ロングテール」によるニッチ商品の掘り起こしだけではなく、検索エンジンへの最適化やリコメンデーション機能の充実などによって、ビジネスモデルを拡大させています。ビジネスモデルの変革を支援する領域として、「CRM」と「SCM」があります。

業務効率化や情報基盤整備による企業体質の強化

これまで、企業のIT化は投資を抑えるために部門ごとの業務改善が中心となっていましたが、同じ企業でも部門によって業界用語やプロセスが異なったりするのも珍しくありません。近年は日本のSOX法(上場企業会計改革および投資家保護法)により、企業が統一されたルールにより内部統制強化が求められる傾向にあります。M&Aによる業務統合や関係会社との他社連携強化の視点から、社内の業務プロセス標準化のみならず他社も巻き込んだ業務プロセスの再構築が必要な状況になっています。情報基盤を中心とした企業体質強化のために「ERP」「EA」「情報セキュリティ対策」に取り組む必要がありITコンサルタントの領域に含まれる仕事内容です。

IT戦略立案やシステム構築の支援

IT戦略を実現させるためには、システム化を計画し構築していく必要があります。しかし、計画段階では見えていないリスクの顕在化や、ステークホルダー間での利害関係の衝突などの問題発生は珍しくなく、ITコンサルタントの支援が求められます。IT戦略立案のためのシステム開発・運用を目的としたシステム構築支援の役割である「PMO支援」「ITデューデリジェンス」についてもITコンサルタントに求められる領域です。

ITコンサルタントの仕事内容

数多くあるITコンサルタントの仕事内容ですが、上記にある領域に基づいた役割からいくつかご紹介します。

付加価値CRM(Customer Relationship Management)

CRM(読み方:カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)とは「顧客満足度向上」と「企業利益拡大」の両立を目指す経営手法のことを意味します。新規顧客獲得が困難な現代では企業が顧客との間に継続的な信頼関係(Relationship)を結ぶことが必要です。企業が一定の売上を達成するためには、自社のサービスを継続的に利用してくれる「お得意様」を確保するほうが重要です。そのために、既存顧客を大切にして、満足度を向上させることがポイントとなります。顧客セグメント化と顧客育成のアプローチの観点で考えることも重要になり、マス顧客から超優良顧客と顧客には層に分けられたセグメントが存在します。そのセグメントにあった効果的な顧客育成によるアプローチの取り組み方がCRMの成功の鍵を握っているといえます。

セグメント別の顧客育成アプローチ

セグメント別の顧客育成アプローチ

付加価値SCM(Supply Chain Management)

サプライチェーンとは製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れのことです。昨今のサプライチェーンは、それぞれのプロセスが別々にあるのではなく、全体の効率化に向けて、一連の流れとして管理し、連携する取り組みがされており、これをサプライチェーン・マネジメント(SCM)といいます。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)

連の流れを管理し各関連する会社が連携をして取り組むことをサプライチェーンマネジメント(SCM)と呼びます

SCMのKPIの例

SCMのボトルネック即ち、全体の能力や成果に影響する問題となる要因は、企業が抱えている問題(改善ポイント)として、在庫、コスト、リードタイムの3つの領域における発見が出発点となります。ITコンサルタントはボトルネックとなっている箇所の発見とKPIを具体的に設定をし、現場の実態をリアルタイムに把握できるシステムを業務基盤として構築していくための、実行性の高いSCMシステムを考案したり、戦略立案やシステム構築プロジェクトの支援を行ったり、ファシリテータとして解決策実行を後押しする役割を担います。

在庫 コスト リードタイム
・在庫回転率
・在庫金額
・輸配送コスト
・調達コスト
・在庫コスト
・調達リードタイム
・製造リードタイム
・輸配送リードタイム
予測精度 収益 サービスレベル
・需要予測と販売実績のズレ率 ・マージン額
・マージン率
・顧客満足度
・納期遵守率
・納期回答制度
サプライチェーン攻撃の対策

サプライチェーン攻撃とはサプライチェーンを悪用したサイバー攻撃のことです。サプライチェーン攻撃は情報セキュリティの観点で対策が求められ、ITコンサルタントは経営者やCISO等、セキュリティ担当者の視点でシステムを守ることを視野に入れ、セキュリティコンサルタントとしても専門知識を元に対策を提案する役割があります。

開発・運用PMO支援(プロジェクト・マネジメント・オフィス)

PMOとは(プロジェクト・マネジメント・オフィス)と(プログラム・マネジメント・オフィス)の意味に分類されます。プロジェクト・マネジメント・オフィスはプロジェクトを受注するベンダー企業だけではなく、発注側であるユーザ企業に設置されることも多く、どちらにとっても重要な役割です。主要なベンダーにはPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)が設置されてますが、最近ではユーザ企業のPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)支援サービスのニーズが高まっています。プログラム・マネジメント・オフィスは、組織内の複数プロジェクトをプログラムとして捉え、俯瞰し、全体を統括管理する意味です。戦略系コンサルタントによる支援が一般的で、ITコンサルタントはPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)を支援するケースが多くなってきますので、プロジェクト・マネジメント・オフィスの意味に統合して捉えても間違いではありません。

PMO(プロジェクト) PMO(プログラム)
機能 組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質を向上し、
個々のプロジェクトが円滑に実施されるよう支援する
組織内の複数プロジェクトをプログラムとして捉え、
俯瞰し、全体を統括する
目的 プロジェクトマネジメント能力の向上と品質向上、
プロジェクトを成功させるための支援
投資対策効果の評価、経営資源の適正投入、
経営リスクのコントロール
組織 技術者・専門職を管理対象として、
プロジェクトマネージャを支援する組織
プロジェクトマネージャを管理対象として、
経営層・CIOを支える実働組織
評価 予算・納期・品質・仕様の実現レベル 投資対効果、新性能/機能、
付加価値、収益、マネジメント
監視 個々のプロジェクトの状況
(品質・コスト・進捗・リスク)をモニタリングする
ガバナンス構造のなかで、
経営リスクになり得る項目をモニタリングする
スコープ 特定の成果を生み出す狭いスコープ、
変更は最小限に留めるように腐心する
組織の目標成果により変更もありうる
幅広いスコープ、大幅な変更も許容する

情報基盤エンタープライズアーキテクト(EA)

エンタープライズアーキテクトは、個々の問題解決に取り組むのに先立ち、企業・組織の全体構造を体系的に捉えて現状を整理・可視化し、そこに立脚して理想的な将来のモデルを描くのに有効な枠組みやプロセスを提供する役目があります。アプリケーション・アーキテクチャではアプリケーションやソフトウェア開発で用いられ、顧客の現状の課題を理解した上で、経営層の意向を盛り込んだ内容を、開発部隊に伝える役割があります。顧客のシステム受託開発の場合に求められる役割で、プロジェクトに関係する各部署とのコミュニケーションを仲介することが中心となります。社内を始めとし関係各所の要件定義を取りまとめ調整をしプロジェクトを円滑に進める重要な役割があります。テクノロジー・アーキテクチャではインフラ環境の構築・運用で求められ、システム全体のリエンジニアリングなどの大きなイニシアアチブから軽微なバグ修正や機能拡張のようなアップデートに伴う細かなメンテナンスまで幅広い対応が求められます。エンタープライズアーキテクトは多様な知識とスキルを駆使して、ステークホルダーの間で働きITでニーズに応える、価値あるソリューションを提供することが求められます。

経済産業省EAを構成するアーキテクチャモデル
アーキテクチャ 具体的な表現方法・成果物 内容
ビジネス・アーキテクチャ 業務説明書 業務・システムの管理・運用体制や最適化に向けた
責任体制を明確化したものである(一般にいうプロジェクトチャートと同義である)
機能構成図(DMM) 業務機能を階層的に3x3のマトリックスで表現したもの
機能情報関連図(DFD) 各階層の機能間の主要データ・情報の流れを図式化したもの
業務流れ図(WFA) システム化を行う業務処理過程の中で、
個々のデータが処理される組織・場所と順序を記述したもの
データ・アーキテクチャ 情報体系整理図(UMLクラス図) 業務処理で扱うすべての情報について、
各情報間の関連および構造を明確化したもの
(必要に応じ情報分析図(CRUD)の作成を推奨)
実体関連ダイアグラム(ERD) データエンティティ間の関連を整理した図
データ定義表 個々のデータ属性、定義を一覧にして整理したもの
アプリケーション・
アーキテクチャ
情報システム関連図 業務・システムの処理過程において情報システム間で
やりとりされる情報の種類及び、方向を図式化したもの
情報システム機能構成図 情報システム関連図で得られた方針をもとに、
情報システム(ハードウェアやソフトウェアなど)で
実装する機能の構成を明確に図式化したもの
テクノロジー・
アーキテクチャ
ネットワーク構成図 適用処理体系を受けて、それを実装するための情報システムを構成するサーバ、
クライアント等の機器の物理的または論理的な接続関係を明確化したもの
ソフトウェア構成図 情報システムを構成するサーバ、クライアント等の機器に実装する
ソフトウェアの構成を明確化したもの
ハードウェア構成図 情報システムを構成するサーバ、クライアント等の機器の
CPU、メモリ、ハードディスク等の機能構成を明確化したもの

EA策定手順に従い、現状(Asls)版、理想(ToBe)版、次期(Next)版の3つを策定する

情報基盤情報セキュリティ対策(セキュリティコンサルタント)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発行している「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」では「情報セキュリティの取組みはある程度進めてきたが、サイバー攻撃対策やインシデント対応は強化が必要。それに向けた体制づくりや対策は何から始めるべきか」と考えている経営者やCISO等、セキュリティ担当者を主な読者と想定し、ガイドラインの「重要10項目」を実践する際に参考となる考え方やヒント、実施手順、実践事例が記載されています。セキュリティコンサルタントはこうした項目に当てはまる内容を基準に企業の経営目線で情報セキュリティ対策を実施する具体的な提案をし、導入から継続的な支援まで一貫して行うことが求められます。また企業のセキュリティ脅威は毎年の流行に合わせて傾向を知ることも必要で、インシデントに合わせた対策方法を提案することも求められるため、最新のセキュリティ対策サービスの把握や技術的な観点でサービスを具体的に説明する知識も必要です。

情報セキュリティ対策のマネジメントサイクル

情報セキュリティの管理はPDCAサイクルを確立させることが重要です。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)では情報システムに関するセキュリティレベルを、「機密性」「完全性」「可用性」の3つの側面から定義されており各項目に沿って策定から実施、運用、効果測定とPDCAサイクルを回すことが必要とされます。

ITコンサルタントのスキル

ITコンサルタントのスキルはスキルセットを意識してスキルアップを図ることが重要です。スキルセットとは各専門分野のスキルの組み合わせによるもので、経験が浅いうちは「I型」からスタートし、深めたところで関連分野のスキル習得の「T型」に発展します。そしてITコンサルタントとして活躍するためには、問題解決力やコミュニケーション力などを身に着け「Π型(パイ型)」のスキルセットへと発展させ、更に成長するためには足が3つ以上になる「のれん型」のスキルセットになるように、不足しているスキルを意識して身につけることが大切です。

スキルセットの発展例

ITコンサルタントに必要なスキル

レベル スキル 定義
問題解決力 企業が抱える問題を発見し、整理、分析し、解決策を提示する力
思考ツール活用力 思考ツールを使いこなし、論理的・現実的・具体的な提案をする力
IT戦略立案力 顧客の経営戦略に基づいてIT活用の方向性を組み立てる力
コミュニケーション力 顧客の真意を理解し、関係者の利害を調整し、良い方向に導いていく力
プロジェクトマネジメント力 プロジェクトを管理し、リーダシップを発揮する力
業界知識 顧客が属する業界に関する、法規制、商慣習、CSF、コア業務、システム体型などの知識
業務知識 財務会計、マーケティング、生産管理、在庫管理、顧客管理、人事管理などの知識
IT知識 最新の情報技術に関する知識
ソフトウェア・エンジニアリング知識 開発プロセス、モデリング、設計手法、品質評価などに関する知識

◎:ITコンサルタントにとって特に重要なスキル
○:システムエンジニア(SE)よりも高度なレベルが要求されるスキル

初級レベル

まだ経験が浅く初級レベルの場合は、セミナーなどに受講をし集中的に学ぶことが良いでしょう。興味のある技術の展示会やセミナーに参加することによって、刺激を受けたり短い期間で知識を身につけたりすることができます。もし集中的に時間が撮れない場合は、eラーニングや通信教育によって時間をかけてじっくり学ぶ方法もあります。初級ではコンサルティングに関連する資格の習得をターゲットに学習することで、必要な知識を体系的に学ぶことが出来ます。

中級レベル

ある程度、知識やスキルが身につき仕事で実践できている中級レベルの場合は、期待される役割も大きいため、より複雑な課題を解決できることが必要とされます。従って、実務の場面で、OJTを通じて知識の定着を図るのが効果的です。実務では机上で学習したこととは異なり、各種の制約に縛られることがよくありますが、どのようにすればもっと効果的にやれるのかを考え、自分なりに創意工夫し知識を活用していく姿勢が大切になります。また、資格を習得できれば「社団法人中小企業診断協会」や「ITコーディネータ協会」などに入会をし、他の有識者と交流することで経験談などを聞くことが出来、能力研鑽や人脈形成も図れます。

上級レベル

上級レベルになると、グローバルでより複雑な課題の解決にあたったITコンサルタントを育成したり、顧客の動向をいち早く察知して今後の方向性を見出すことなどが必要になります。従って、顧客業界の動向やコンサルティング手法、ITソリューションの最新情報や事例情報の収集が欠かせません。そのためには、書籍やインターネットからの情報の他にコミュニティを通じてリアルイベントに参加をして情報収集したり、異業種交流パーティに参加をし、会計士や税理士といったプロフェッショナルとの人脈を構築し、専門分野以外の視野を広げていくと良いでしょう。上級レベルにもなれば、得意分野でセミナーを開催したり人脈から書籍執筆や講演のチャンスが巡ってくることもあり、自身が持つ知識を再整理し体系化するプロセスでもあり、人に教えることや情報発信からさらなるレベルアップも期待できます。

ITコンサルタントの資格

ITコンサルタントに関する資格は必須ではないが、体系的な知識習得と人的ネットワークの構築に役立つため、保持していれば有利になります。資格は基礎知識の裏付けであって、コンサルティングスキルの証明書ではなく、資格でカバーされている範囲も限定されており、実務で必要な知識はせいぜい2〜3割程度です。
しかし、最初は誰でも経験や実績はないため、顧客との縁を作る上では最初の入口でとして使うことが出来ます。また、我流でスキルアップを図ると、スキル分野が特定に偏る懸念があるので、広く浅い知識を習得するために勉強することは有効な方法です。コンサルタント系の資格は、有資格者同士のコミュニティで繋がりが確立されているため、そこから社外人脈を広げることも可能です。

中小企業診断士 ITコーディネータ ITストラテジスト ベンダー企業系資格
主に問われる知識 経営 IT経営 IT戦略 製品
PR(パブリックリレーションズ)対象 経営者 経営者 情報システム部門 情報システム部門
企業へのメリット
独立系メリット
合格者コミュニティ
資格の中立性
資格の難易度
(合格率 ※2019年度)

(約26.0%)

(約64.0%)

(約15.0%)

(各サービスや製品による)
取得までの費用
(試験費用合計 ※ 2020年度)
30,200円 19,800円 5,700円 (各サービスや製品による)
更新制度 有(5年間) 有(1年間)

※ 企業やブランドに関する世間の認知を高めるために行う業務のことで、対象は経営者を中心とした関係者であるステークホルダーを示す。

中小企業診断士

中小企業診断士は、経営コンサルタント唯一の国家資格であり、戦略から財務合計、マーケティング、人事労務、生産、店舗運営、新事業立ち上げまで、経営の基礎知識をほぼ網羅している資格です。ITコンサルタントにとどまらず、様々な分野のコンサルタントがこの資格を保持しています。

ITコーディネータ

ITコーディネータは、経営とITの両面に精通したプロフェッショナルの認定資格です。国家資格ではありませんが、経営者の立場になって「真に経営に役立つIT投資」をサポートする役割を担う人材として、経済産業省から取得を推奨されています。

ITストラテジスト

ITストラテジストの試験は、情報処理技術者試験の1つとして2009年から実施されています。2008年まではシステムアナリスト試験と上級アドミニストレータ試験が実施されていましたが、情報処理技術者試験の制度見直しに伴って変わりに創設されました。対象者は「高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化をするために基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者」と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では定義されており、一言で言えば「IT戦略」のことを示します。

ベンダー企業系資格

ベンダー系資格の例は、SAPやOracleなどのERPベンダーが実施する認定制度があります。公的資格とは異なり、経営知識よりはベンダー製品の使いこなしの方に力点を置いているのが特徴です。自身が所属している会社が該当ベンダーと提携していることや、該当ベンダーの製品を利用してシステムを構築している場合など製品やサービスの知識を標準的な指標で認定されたことを証明する為に資格を保有しておくこともメリットして上げられるため、経営層よりかは情報システム部門など技術部門へのPRに効果があります。

EAPとは?

EAP(Enterprise Resource Planning)とは、「全部門共通システム」のことを意味します。EAP誕生以前は個別最適化の時代で、会社全体で一つのシステム開発を行うというわけではなく各部門個別で管理をしているシステムでした。しかし、会社全体で見たときに非効率な側面も存在していたため、部門間の情報・データ共有を始めとした全体最適化へと進みました。EAPは企業全体の資源、即ち「人・もの・金・情報」を管理するシステムのことです。

SAPとは?

SAPとは、ERPをパッケージとして(つまりERPを1つのソフトウェア・アプリケーションとして)各社に展開する製品を提供している、ドイツ中西部にあるヴァルドルフに本社を置く、ヨーロッパ最大級のソフトウェア企業です。EAPは会社全体のシステムを意味しますが、分解していけば1つ1つの部門単位の機能に分けられます。それらを統合しパッケージとして開発・販売を行っているもので、現代ではCRM(Customer Relationship Management)やSCM(Supply Chain Management)などのソリューションも併せ、「企業のあらゆる業務を強化する包括的なソリューション」としてSAP Business Suiteを打ち出し、R/3の後継であるSAP EAPがEAPソリューションとして提供されています。

Oracleとは?

Oracle(読み方:オラクル)とは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本拠を置く、民間法人や公的機関を対象とするビジネス用途に特化したソフトウェア会社で日本ではデータベースを示すことが多いため「Oracle Database」を意味します。「Oracle Database」は関係データベースを利用し表形式のデータで表し、SQL言語によって検索や入力や削除などの処理を行うことが出来ます。有名なものにWebサーバで利用されているMySQLが昔からシェアを確保し続け主流になっています。Oracle Databaseには「ORACLE MASTER」という資格がありデータベースの管理スキルを証明するものとして、体系的なスキルの習得、新しいリスクの挑戦、社内外におけるスキルの証明を目的とし存在します。

ITコンサルタントに関連する職種や記事

エンタープライズアーキテクト(EA)

アイティーエムではEAのテクニカルアーキテクト(テクノロジーアーキテクチャ)の分野でテクニカルセールスを募集しています。
ご興味のある方は採用サイトの求人情報を御覧ください。

関連記事

さくらインターネットでは「さくマガ」よりデジタルトランスフォーメーション(DX)人材について経済産業省の職員のお話をまとめた記事を掲載しています。DX人材に必要な人材としてITコンサルタントが含まれることから、求められるスキルや資格にも関連する内容が書かれておりますので、是非ご覧ください。

採用サイト

アイティーエムでは若手エンジニアを中心に積極的な採用活動をしています。ご興味のある方は当社採用サイトを是非ご覧下さい。