マイグレーション(Migration)は英単語では、移住・移転・移動などを意味しますが、IT用語としては既存システムやソフトウェア、データなどを別の環境に移転したり、新しい環境に移行することを意味します。システムの場合は、長年使用している古いオンプレミス環境からクラウドサービスなどのような新たな環境に移行させることが主流になってきています。オンプレミス環境から移行をしクラウドサービスのリソースを利用することやデータセンターにコンピュータ機器を預けることにより、社内環境に物理的なサーバやネットワーク機器を保管しない方法をサーバレス・コンピューティングと言います。クラウドサービスの場合は必要なマシン・リソースを割り当て動的に管理をし、一定の金額ではなく利用したリソース量に基づいた金額を支払うサービスで、利用者にとってはインフラ環境の調達のしやすさや運用コストを削減できることなどがメリットです。
マイグレーションとは、システムやデータを別の環境に移転したり、新しい環境に移行することですが、よく似たような言葉にコンバージョンというものがあります。マイグレーションとコンバージョンでは環境が変わることで結果的には一致しますが、意味が変わってきます。コンバージョン(Coversion)とは英語では変換、転換、転化という意味を持ち、様々なシーンで使われる言葉になってきました。例えばマーケティング用語では、コストが転換していくという意味合いから、獲得したリードからの最終的な成果目標として使われることもあります。IT用語としてはデータやファイルを、別の形式に転換する場合にコンバージョンもしくはコンバートという言葉が使われます。マイグレーションが新しい環境への移行であるのに対して、コンバージョンはシステムを異なる設計のものに入れ替える手法のことを示します。
マイグレーションの手法は主に「ライブマイグレーション」「データマイグレーション」「レガシーマイグレーション」の3つに分類されます。ライブマイグレーションはハイパーバイザー型の仮想サーバ同士で機能を瞬時に移動させて同期を取りながらデータ移行をする方法です。データマイグレーションは、古いハードウェアから新しいハードウェアにデータを移行する方法です。レガシーマイグレーションはメインフレームなどの大型のコンピュータを現代で利用されているオープンシステムが搭載されているサーバやコンピュータに移行することです。それぞれの特徴と方法を詳しく見ていきましょう。
ハイパーバイザーを利用した仮想サーバは、他のハイパーバイザーで稼働している仮想サーバに(ほぼ)瞬時に「機能を移動」することが出来ます。このような機能をライブマイグレーションと呼ばれています。仮想サーバは基本的にメモリ、ディスクなどのコピーを行うことにより、場所を選ばずに稼働させることができます。「移行前と移行中の図」のように古いサーバから新しいサーバに切り替えるような目的で行われ、旧サーバの仮想マシンのイメージをコピーし新しいサーバへ移し替えることをします。
「仮想マシン」とは英語ではVirtual Machineで、頭文字をとってVMと表現されます。仮想マシンとは単一のハードウェアに複数のハードウェアを、擬似的に動作させる技術を用いたコンピュータのことです。
仮想マシンには「ハイパーバイザー」と呼ばれる仮想化ソフトウェアがあります。ライブマイグレーションはハイパーバイザーで動作している仮想マシン同士の環境移行で実現可能です。しかしライブマイグレーションは、ハイパーバイザーで稼働している仮想マシン同士の移動や、厳密には移行途中にごく短い(1秒以下)ネットワーク瞬断が発生するなど技術的にも成約があり、まだ不完全な技術であることが課題です。
仮想化技術が普及していなかった時代、すなわち物理サーバ(実機)のみでシステムを構成していました。その際に取り入れられた技術の一つで物理サーバのみでシステム構築をする際は、同じ処理を行うサーバ2台(もしくは複数台)用意し、互いのサーバが正常に動作をしているか監視し、場合によっては互いのサーバがアクセスできる共有ディスク(記憶装置)に保存されるようなシステム構築を行います。システム全体から見ると2台のサーバを1台のように扱うイメージのことで、このことを「クラスタリング」や「クラスタ構成」と呼びます。
クラスタ構成を取っている場合は、万が一どちらかのサーバに障害が発生してしまった場合、もう片方のサーバが障害を検知し処理を引き継ぐことができます。その処理の状況は共有ディスクにも引き継がれ、障害が復旧したら処理を再開させるよう補います。このような技術を「アクティブスタンバイ型のクラスタ構成」などと呼んでいます。
仮想化技術が普及している現在は、ライブマイグレーションなどの機能によりクラスタ構成なども柔軟に対応が可能であり、将来はクラウドサービスとの併用により「現在利用している仮想サーバが、どこの環境でどのように稼働しているか」ということまで、意識をする必要がないとまで言われています。
ライブマイグレーションは仮想マシン(ハイパーバイザー)同士で実現でき、目的は旧サーバから新サーバへシステム移行をし、サーバ運用時のシステム障害対策におけるレプリケーション(システムを予備のサーバで同期を取りバックアップすること)まで視野に入れて実施されます。
共通して言えることは現状のシステムを稼働しながら移行から運用までつなげて行うことで、クライアントは普段利用しながら新環境に移行をすることができ、新環境で快適にシステムを利用できることが期待できます。
非常に大規模なサービスの移行を行う場合など、利用頻度が少ない時間、時期を選んで、システムやサービスを停止する場合があります。GWの時期に、銀行の大規模なシステムの移行などがあり、何ヶ月も前から連絡が来るときがあります。どうしても必要であれば仕方がありませんが、簡易な作業であったり、定期的なメンテナンスのような場合は、出来るならばシステムやサービスを停止しないで行いたいものです。
ライブマイグレーションは仮想マシン(VM)で動作しているシステムを新しい環境に移行するのでシステムを停止すること無くシステム移行が可能です。旧ハードウェアで動作している仮想化ソフトウェアと新しいハードウェアで動作している仮想化ソフトウェアで移行するため、その上で動作しているホストOSやアプリケーションは停止することなくユーザが利用しながらシステム移行が実現できます。
マイグレーションにあたって、具体的に必要な物理的なハードウェアであったり移行環境については、それぞれの事情で異なってくるでしょう。現在のシステムの受け皿になる同等な環境が用意され、すばやく、確実に、システムやデータに漏れやミスがなく移行できることが必要で、それにはなるべく早く、専有できるようなネットワーク環境も必要になります。
システム移行をする際は、お客さまは移行先の環境(サーバや共有ストレージなどのハードウェア、仮想化ソフトウェアのライセンスなど)を準備する必要がありますが、当社で機器間を結ぶための専用コンバータと専有できる高速回線を用意しますので他社の共有回線を利用することにおけるネットワーク負荷や遅延の影響を受けずに安心してシステム移行が実現できます。
また、マイグレーションは、新しい環境に移行するわけですから、これまでの環境で使っていたソフトウェアやアプリケーションが、新しい環境でも同じように使えることが前提になります。この場合に、例えばOSのバージョンアップなどの適合性はもとより、ライセンスそのものが移行先のサーバで使うことができるのかも確認しておく必要があります。
移行先の環境で利用できる仮想化ソフトウェアのライセンスに関してはOEM(OSやソフトウェアメーカーがハードウェアにライセンスする形式)では移行後も利用できませんのでご注意ください。ユーザや企業が購入したOSやソフトウェアである「リテール版」であることが前提です。リテール版は主にインターネットからダウンロードできるソフトウェアやクラウドサービスで利用できるアプリケーションライセンスやソフトウェアを単体でパッケージ販売をしているものが主に該当します。
ハードウェア面で考えると、移行先のサーバやストレージは、もちろん最低限、現在の環境のスペックと同等以上である必要があります。アップグレードすることがすべてではありませんが、少なくともマイグレーションの前にハードウェアの性能について、あらかじめテストしておく必要があります。それをしておかないと、マイグレーションによるトラブルなのか、そもそものハードウェアとの適合性の問題なのかを切り分けられなくなります。
移行前は予め利用するハードウェアに仮想化ソフトウェアをインストールをし十分なテストを行いCPU、メモリ、ディスク利用率、ストレージ利用率などのリソースチェックを実施します。これはハードウェア単体で目指す状態に近い環境でベンチマークを実施し擬似的にテストを行うことです。移行後のハードウェアの性能が十分なスペックでなければ、お客さまにご報告とともにご承認のもと、リソース追加を行い細かな調整を実施します。
マイグレーションというと、現在の環境から新しい環境に完全に移行することもあるでしょうが、例えば、これまでのオンプレミス環境の一部をクラウドに切り出すという場合も考えられます。このような、いわるゆハイブリッド環境の場合は、マイグレーションにあたっては予め移行後の環境で、問題なくシステムやサービスが提供できるかを検証しておく必要があります。
結合テストは環境移行が終えてからするのではなく、システム移行中もオンプレミス環境とクラウド環境で並行稼動テストを行い、互いに連動し通信が途絶えることなくシステムが同期しているか、いままで利用できていた機能に不具合はないか、など両方の環境を併用して利用し移行作業の初期段階、すなわち少ないデータ量からの段階から行うことで確実性が向上します。
データマイグレーションとは、古いハードウェアの記憶媒体を新しいハードウェアなどの記憶媒体に業務データの移行をすることです。ハードウェアが老朽化しリプレイスが必要になった場合は、データマイグレーションでデータ移行を行います。クラウドサービスを利用している場合はクラウドサービス提供者が定期的なメンテナンスによりハードウェアをリプレイスを行い運用しているため、利用者はハードウェアの劣化などを気にせずに利用することがメリットで、データマイグレーションの必要性はありません。
しかし、社内でハードウェアを保有し運用しているオンプレミス環境の場合は、ハードウェアの保守・点検まで行い運用をする必要があり、年月の経過と共に故障の前にやってくるコンピュータの耐用年数が経過をする頃には、データマイグレーションの実施を計画する必要もあります。
レガシーマイグレーションとは「レガシーシステム」と呼ばれる、基幹業務用などに使用される大型コンピュータを示すメインフレームや、1960年代から90年代頃まで存在したコンピュータ製品のカテゴリの一つであり、事務処理用途に特化した中型コンピュータのオフィスコンピュータ(オフコン)は時代遅れの為、これらのコンピュータシステムを現代で主に利用されているUNIXやWindowsなどのプラットフォーム(オープンシステム)に移行することを意味します。
マイグレーションを実施する際は各フェーズに沿って手順を踏まなければいけません。マイグレーションは会社全体で利用しているシステムを対象とする場合など、関係する人物が多くなり完了まで掛かる年月が長くなるためプロジェクトの規模が大きくなります。また、環境移行後の運用を見据えたマイグレーションを実施する必要がありますので、移行環境後の検証や設計段階から確実に順を追ってプロジェクトを進める必要があります。よくあるケースのオンプレミス環境からクラウド環境にマイグレーションする場合を例に詳しく見ていきましょう。
クラウド移行を実現するためには手順を踏むことが極めて重要になってきます。費用や時間も掛かりますし、プロジェクトを進める人的リソースも大きなものになるからです。業務システムのクラウド移行は経営上の投資になるため、何の目的で、どれだけの投資が必要で、それに伴う経営上の効果を得られるのかを明確にする必要があります。企画や提案のフェーズから順を追って見ていきましょう。
クラウドとは何かを理解した上で、クラウド移行の目的を明らかにし、目標を設定し合意を取ります。
さらに、その後の進め方や体制を計画し承認を取ります。
項目 | 内容 |
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クラウドの特性を理解 | クラウドの特性やオンプレミス環境との違いを理解し、クラウドの利点や制約をまとめます |
クラウドの試用 | 実際にクラウドサービスを触って勘所をつかみます。利用実績の多いAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがお勧めです。 |
移行目的の明確化 | 利害関係者(ステークスホルダー)と時間をかけて議論し、 なぜクラウドに移行するのかという目的を明確にします。 |
現状把握と目標設定 | 何を持って目的を実現したといえるのかという「目標」を定義するとともに、現状を明らかにしておきます。 |
現状のインフラやシステムの状況を把握するとともに、クラウドに要求される事項などを明確にします。
移行の対象候補システムや移行の順番付けの考え方などを明らかにします。
項目 | 内容 |
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システム情報の収集と整理 | 現状どのようなシステムがあるのかを一覧化します。同時に要求されるシステムレベルや稼働時間、 システムの重要度、主管部門、利用者数、今後の拡張計画の有無などを把握します。 |
インフラ情報の収集と整理 | 各システムで利用しているインフラの情報を一覧化します。サーバ機器だけでなく、ストレージやネットワーク機器もリストアップし、それぞれの詳細情報(サーバであればOSのバージョンや購入したミドルウェアなど)、保守期間、入れ替え計画の有無などを把握します。 |
クラウドで達成する要件の整理 | クラウド環境の要件を整理します。例えばサービスレベル、計画停止、可用性、性能、セキュリティ、災害対策などが含まれます。 |
クラウドベンダーの評価と選定 | 要件に合うサービスを提供しているクラウドベンダーを選定すべく、それぞれの要件で評価をします。 |
移行対象の整理 | どのシステムが移行可能なのか、移行に際してどんなリスクがどの程度あるのかを整理し、 ロードマップ策定の材料とします。 |
移行コストの整理 | 移行可能なシステムにおいて、移行のコストを概算した上で、どのような移行方法を取るべきか検討します。 |
移行順序の決定 | ここまでの成果を踏まえて、どうゆう順序でどのように移行していくかというロードマップを策定します。 |
詳細な設計作業や標準化作業に入る前に、実際のサービスを利用しながら、プラットフォームに関する懸念点などを検証します。
項目 | 内容 |
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PoCの目的の明確化 | プロジェクトを進めていく際に共通して影響がありそうなことや、あとで問題になりそうなことを前もって確認し、安心して進められるようにする、というPoCの目的を関係者で再認識します。 |
PoCの内容や範囲の決定 | PoCで検証した内容を定期的に整理し、チーム内でレビューしておきます。 |
PoC結果のレビューと整理 | PoCの検証項目を具体的に洗い出し、優先順位を付けます。 検証を進めていく過程で、必要に応じて項目を追加します。 |
ここまでの内容を踏まえ、システムごとに設計や移行を行います。必要に応じて標準化や共通化も推進します。
項目 | 内容 |
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全体に影響のある箇所の設計 | システム全体に共通したり影響したりする項目を、個別の移行プロジェクトを進める前に設計しておきます。 |
サービスレベルに応じた アーキテクチャの類型化 |
要求されるサービスレベルを実現できるアーキテクチャパターンを、用途ごとに複数用意します。 |
移行 | 個別システムを実際に移行していきます |
運用を開始します。運用を通じて得た知見に基づき、戦略を見直したり設計内容を改善したりします。
項目 | 内容 |
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定期的なデータ収集と分析 | クラウド上で稼働しているシステムついて、定期的に運用状況のデータを収集して分析します。 |
運用管理と改善と最適化 | 月間サービス停止時間やメンテナンス時間などのデータを確認し、サービスレベルを満たせていなかったり 懸念があったりすならば、原因を明らかにして対応していきます。 |
アーキテクチャの最適化 | 継続的に課金額をチェックします。課金額が高かったり、その変動が大きかったりする場合は、 詳細な利用状況を確認します。 |
効果測定と移行計画の見直し | システムを移行しながら定期的に分析をし、その都度改善サイクルを回していきます。 |
ここまではマイグレーションについて説明してきました。実際にマイグレーションを行おうとする場合、もちろん自社のエンジニアで実施することもできますが、豊富な経験を持った会社が、それぞれのニーズに対応できるようなマイグレーションサービスを提供しています。以下に、具体的に、どのような方法があるかについて説明していきましょう。
「オンプレミスで稼働中のシステムをクラウドに移行したい」、「現在利用中の環境をそのまま移行して、これまでと同じ運用を行いたい」、これが昨今最もニーズがあるのではないでしょうか?実際にはお客様のシステムの利用状況を確認し、移行計画を作り、移行作業を行うわけですが、実際の移行方法にはいくつかあります。
ニーズによって選択は様々でしょうが、オンプレミス環境からクラウドへの移行で多いのはホスティング型のプライベートクラウドの利用ではないでしょうか?独自インフラ構築のための初期コスト負担はありますが、最適な環境のなかで、月額の定額で利用できる、インスタンスなどリソースの柔軟性が高いなどのプライベートクラウドのメリットを享受することができます。
プライベートクラウド環境を構築するには、クラウドサービスの提供形態であるPaaS、IaaSなどを利用して構築することになります。
「PaaS(Platform as a Service)」とはクラウドにあるプラットフォームが利用できるサービスです。大規模なデータセンターに、アプリケーションを稼動するためのネットワーク、サーバーシステム、OSやミドルウェアなどのプラットフォームが用意され、企業ユーザがそのプラットフォーム上で開発を行うことができます。
「IaaS(Infrastructure as a Service)」とは情報システムのインフラとなる、ネットワークやサーバーシステムを利用できるサービスです。従来ならば自社で購入、構築し、運用する必要があったインフラを必要なときに必要なだけ利用できます。
上記のプライベートクラウド環境は、ある意味でサーバの置き場所を移行する方法とも考えられます。これに対して、データセンターのサーバを利用することで、サーバを自社で持たない、いわゆるサーバレスの環境への移行というのもマイグレーションの一つの方法になります。
同じサーバレスの実現もクラウド環境を利用することで可能ですが、データセンターのハウジングサービスとの主な違いは現在利用している機器がクラウド環境に無い場合です。特殊なコンピュータ機器を利用している場合はデータセンターに機器を預けることが出来、システム運用を代行して貰う方法があります。
自社でサーバを管理している課題としては、「自社のサーバルームで保管している機器のメンテナンスや運用の負担を軽減したい」、「オフィス内のフロアを占拠してしまっているため大量のサーバ機器を安全な設備に預けたい」、「機密情報や個人情報を取り扱っているため強固なセキュリティが確保された設備を利用したい」といったものがあります。データセンターが提供する安全、安心なスペースと回線を利用するハウジング(コロケーション)サービスを利用することでサーバレス環境を実現できます。
ハードウェア障害や自然災害などの不足の事態に備えて、またBCPやDRのために、システムのバックアップをしたいというニーズは、止められないITシステムであればあるほど、そのニーズは高くなります。しかし、もしものために、オンプレミス環境でバックアップ環境を整えるよりも、クラウド型のバックアップサービスを利用することで、当該用途のための環境をサーバレスにすることができます。
クラウド環境を構築しているデータセンターには多くのサーバや機器を保管しておりサービス提供会社が運用しています。顧客情報、個人情報や機密情報を取り扱うデータもデータセンターの堅牢かつ強固なセキュリティで安心、安全にご利用できます。
ここまではいずれにしても物理的なサーバをどこに置くか?どのようなサービスを利用して物理的なサーバを削減するかということについてお話してきましたが、ここでは物理的なサーバから仮想サーバへの移行についてご説明したいと思います。
本稿の冒頭でもご説明しましたように仮想マシンとは、仮想化技術を用いて、あたかももう一つのコンピュータ、つまり「仮想化サーバ」として動くようにさせることです。物理的な環境にあるハードウェアに仮想化ソフトウェア使った基盤をつくり、その上に仮想化されたハードウェアを配置します。仮想化サーバ上では、それぞれ別々のOSやアプリケーションを作動させることができます。これによって限られた物理的なリソース(CPU、メモリ、ハードディスク、ネットワークなど)の能力を有効活用することができます。つまり、これを利用すれば、旧環境を新サーバに移行したとしても、旧システムの機能はそのまま利用できることになります。
システムで稼働している物理サーバが老朽化したりソフトウェアのアップデートに伴いマシンスペックが不足してきたときに、1台のハイスペックのハードウェアを導入し仮想化を行うことで、それぞれ異なるサーバも単一の仮想サーバで管理が可能になります。
サーバ仮想化を実施する際は綿密な計画が必要で、特に現在利用している物理サーバの資源を組み合わせたときよりも、より多くの資源を必要とし、かつ仮想マシンを導入した際のハードウェアの資源も計算する必要があり、1台のハードウェアでは不足している可能性もあるため複数台のハードウェア購入も視野に入れなければいけません。サーバ仮想化への移行はハードウェアのリソース管理を行うことから始まります。
マイグレーションには様々なニーズがあり、それに対応する様々なクラウドサービス、データセンターサービス、またデータやシステムの移行をサポートするマイグレーションサービスもあります。マイグレーションの目的も様々でしょうが、ただ単純に置き場所を変え、移行しても使い勝手やコストパフォーマンスが良くなるわけではありません。「最終的な運用監視を考えた移行をしたい」、「回線提供やセキュリティ対策などワンストップでシステム移行をしたい」など総合的な視点からのマイグレーションをともに考え、具体的なサービスを提供できるパートナー選びが重要です。
マイグレーションでは仮想基盤を利用したシステム環境を利用する場合があります。仮想化技術によるシステム構築はコンピューティングリソースの集約や、仮想基盤を利用しているクラウド環境への移行による運用コスト削減でメリットがあります。運用まで見据えたシステム構築を実施することで、システム安定稼働を実現します。
オンプレミス環境からクラウド環境へシステム移行する場合の利用例を御覧ください。
仮想化は、コンピュータリソースの有効活用を目的としており、柔軟性や拡張性も高いものです。しかしそれは一方で、システムの監視という側面から考えると、複雑化しており、CPU、メモリ、ストレージ容量、デイスク使用率などコンピュータリソース管理のポイントが多くなることになります。
アイティーエムはシステムマネジメント事業を主軸とするMSP事業者です。当社が考えるMSPは「MCSSP」と呼び、新しいシステムマネジメントサービスの形態です。
MCSSP = 「MSP(Managed Service Provider)」+「CS(Cloud & Security)」
従来から存在するMSP(Managed Service Provider)事業をベースとして、昨今のIT環境にて特に注目されている「クラウド利用」と「セキュリティ対策」をより強化したサービスでお客様の安心・安全で、快適なシステム運用をご支援します。
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